クラウン
怖さ★★☆☆☆
グロ★☆☆☆☆
絶望★★★★☆
おすすめ★★★☆☆
タイトル・パッケージどおりのクラウン・ホラー。
全ては、 息子の誕生日に来るはずだったピエロが急遽来れなくなったという連絡から始まる。
息子のためにと、偶然見つけたピエロの衣装を着て駆けつける父。息子も奥さんもそのサプライズに盛り上がり、誕生日は無事に終わる。
しかし。この衣装がどうにも脱げない。結局その衣装のまま一夜を明かし、息子の送り迎えもピエロの格好で行くことに。時間もなく、職場にもそのまま行く。
ここまではまだ笑い話で済む出来事であるし、実際周りの反応もそうだった。
どうにも仕方なく病院に行き、事情を説明するが、脱げない服だなんてあるわけが無い。信じてもらえず、精神を病んでいるのではと疑われてしまう。
この描写がうまい。
ホラーを観ていると頭に度々浮かぶ、「病院行けよ」「警察呼べよ」というツッコミ。
いや、行ってしまっては面白くないのも分かっているし、ストーリー上不要であることも承知だが、ふと思ってしまうものは仕方がない。
その部分を、一度病院に行き、精神病を疑われる、というイベントでクリアしているのだ。
精神的に健康な人間がそんな体験をしたら、病院も警察ももう頼りづらいものだ。
ここからは地獄である。
観て確かめてほしい。
ピエロに侵食される父の視点と、息子・奥さんの視点で進んでいく物語。どちらをどう応援したら良いのかわからないもどかしさ。
最後の息子の発言で、絶望に震える。
家族の崩壊をじわじわと味わう絶望感もまた、この作品の魅力である。
立派にジャンルとして確立しているクラウン・ホラー。
最近では「IT」がリメイクされ、「ジョーカー」も人気を博し、注目を集めているが、ピエロってどうしてあんなに不気味なのだろう。
素顔を隠す白塗りに、無理やり上げた口角、可愛らしさとは無縁のアイメイク。この“不自然さ” が恐ろしい。
普通のメイクでさえ、やり過ぎるとちょっと怖い。(メイクが濃すぎて怖いマダムをたまに見かけてはピエロを思い浮かべる。)
ハラハラする描写はあるものの、グロテスクな表現は控えめ。
ホラー初心者にもおすすめできる。
また、新たにホラー映画を開拓したい玄人にも、もちろんおすすめである。